CAEとは?CAEでできることを紹介

CAE

こんにちは、玉那覇です。メーカーで機械設計に携わりながら技術系ライターとして活動しています。設計業務では主にCAEの専任者として信頼性の評価をしています。CAEは開発業務を効率良く進める手段として注目されていますが、CAEを始めるためには費用面や習得面などさまざまなハードルがあります。

そこで、本サイトではCAE実務者の視点から「CAEって実際どうなの?」について、概要から実際にCAEを始めてみるところまでを連載していこうと思っております。

1回目の記事ではCAEの概要と、CAEの種類別にどのようなことができるのかを紹介します。

CAEとは

CAE(しーえーいー)とは「Computer Aided Engineering」の頭文字を取ったものです。コンピュータを使って、物理現象を計算するツールを指します。物理現象とは、「材料力学」「熱力学」「流体力学」「機械力学」などの4大力学を始めとする機械工学のことです。

これらの計算は簡易モデルであればエクセルを使って設計が終わるのですが、複雑な形状になっていくほど、モノを作って試作試験に頼ることが多くなります。CAEでは3次元モデルに条件を与えて計算するため、形状がある程度複雑になっても計算ができます。

設計開発にCAEを導入することで、これまで試験でしか検証できなかった内容が机上で検討できるようになるので、試作した後の手戻りを減らせます。

CAEでできること(種類別に紹介)

CAEは計算する目的に応じていくつかの種類に分かれています。種類別に何ができるのか見ていきましょう。

構造解析

力や変位の条件を与え、変形や応力値の分布を確認するための解析手法です。FEM(えふいーえむ)とも言います。

例えば、パイプ椅子を設計する場合では耐荷重に対して壊れないよう、許容できる応力以下に設計しなければいけません。構造解析を実施することによって、パイプ椅子に掛かる変形量や応力がわかるので、パイプ径やパイプ椅子の形状を決めることができます。

振動解析

物体の固有振動数や、特定の部位を加振したときの応答を確認するための解析手法です。

例えば、架台にモーターなどの回転体を載せたときに、モーターの回転周波数と架台の固有振動数が一致して共振を起こしてしまうことがあります。振動解析では、架台を製作する前にあらかじめ振動解析によって架台の固有振動数を計算することにより、モーターの回転周波数を避けた架台を設計することができます。

流体解析

ある流体経路の入口と出口に流れる流量や流速などを定義して、流路全体の流速や圧力を確認するための解析手法です。CFD(しーえふでぃー)とも言います。

例えば、迷路のような配管を設計するときに、圧力損失が心配になったとします。断面積が円などの単純な形状であれば経験式で圧力損失を求められますが、複雑な断面形状の圧力損失を求めるのは困難です。流体解析では複雑な形状の流路でも圧力損失を求められるので、試作する前に圧力損失の改善が行えます。

音響解析

音の単位はdB(デシベル)で表現されます。dBとは空気を伝播する圧力変動(Pa)の大きさを示したものです。音響解析では、音の伝播や反射などを可視化することができます。音の発信源を決めて、ある位置での周波数毎の音圧がわかれば、発信源から何Hzの音がどの程度下がるのかを把握することができます。遮音板やスポンジなどの多孔質材を付けて、音の低減効果を確認することもできます。

動力機構を有する製品では、カタログ値に騒音値(dB)を記載することが多いです。仕様がまとまっても最後は騒音値が目標値を満足できず苦労する、ということが多く見られると思います。騒音値を1dB下げるだけでも半年もしくは一年を費やすと言われていますので、開発期間短縮のツールとして、音響解析が注目されています。

機構解析

単品もしくは連結された部品の動きを確認するための解析手法です。3次元モデルのアセンブリデータから、モデル同士の接続部にジョイントと呼ばれる接点を定義します。ジョイントに回転や並進などの拘束を与えることで、レシプロエンジンのクランクシャフトなどの動きが把握できます。単に動きを確認するだけではなく、回転体の一部に重量を定義して、アンバランスによる振動加振源を設定することも可能です。

機構解析では主に剛体のモデルを扱いますが、最近では構造解析の結果を取り込んだ弾性モデルを扱うソフトも増えてきました。弾性モデルを使うことで力の作用による物体の変形も確認できます。

CAEの計算方法

CAEはコンピュータが計算しますので、実際どのような計算をしているのか直接目に触れることができません。実はCAEの実務者でも理論的な計算方法の詳細を知っている人は多くないのです。CAEを操作する上では、概念として少なくとも以下の特徴をおさえておけば良いでしょう。

離散化

 
機械力学では微分方程式を立てて計算しますが、コンピュータは微分方程式からそのまま計算することができません。そこで、時間や空間などの領域を区切って計算します。これを「離散化」といいます。CAEで行う離散化とはモデルに対して「メッシュ」という小さな形状に分割して要素を作ることです。

メッシュには、次の種類があります。

・ビーム要素
2点間の要素をつなぐ、見た目は線になっている要素です。断面形状が同じ棒のモデルに使います。

・シェル要素
三角形や四角形などの形状をした2次元の要素です。薄い板金など厚みのない2次元のシェルモデルに使います。シェルモデルは板厚を数値として入力するだけなので、板厚を変えるためにモデルを作り直す必要がありません。

・ソリッド要素
3次元モデルを細かい立体形状に分けるとき、ソリッド要素を使います。三角すいや四角すいなどの形状があります。

メッシュの節にあたるのが要素です。CAEは要素点で計算の入力や出力をします。

差分法

離散化した区間同士の変化量を計算する方法です。微分方程式で表した曲線を傾きのある1次式に変換し近似して解いていきます。

陽解法

現在の値だけを使って未来を予測する方法です。1回あたりの計算を高速に行え、計算プログラムの作成が比較的容易なのが特徴です。しかし、計算を安定させるためには、時間幅を細かくする必要があり、結果として計算時間が長くなる欠点があります。衝突や落下に関した非常に短い時間の解析に適しています。

陰解法

未来の値を仮定して値を求める方法です。未来の数値は未知数なので、未知数の数だけ連立方程式の数を増やします。境界条件で設定した値以外は殆どの要素点で未知数です。たとえば要素数が50万個できた場合は、おおよそ50万元の連立方程式ができあがるため1回の計算時間が長くなり、大きなメモリを必要とします。ただ、陽解法と比べて大きな時間間隔で計算できるので、総合的に見ると陽解法よりも計算終了時間が早くなります。静的な解析に適しています。

まとめ

CAEの概要と種類別に何ができるのか紹介しました。CAEは機械設計の領域を広げ、試作試験に頼っていた所を補える有用なツールです。

次回はCAEを始めるために必要な知識や、乗り越えなければいけないハードルについて紹介していきたいと思います。これからCAEを始めようと思っている方の一助になれば幸いです。

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