前回の記事では、なぜ製造業ライターである私が、eVTOLに注目するのかについて紹介をしました。その中で、さまざまな技術が用いられているということを書きました。
eVTOL1:製造業ライターがeVTOL(空飛ぶクルマ)に注目する理由
そこで、第2回となる今回の記事では、「eVTOLの実現に必要な要素技術の中には、どのような観点で扱っていくか」について、今後の方針を紹介します。
まだまだ勉強中なので、私が十分に理解できていないこともあると思います。
勉強していく過程で、扱う内容が変わっていく(増えていく)ことが考えられるため、この記事は随時ブラッシュアップをしていく予定です。
本連載で扱うeVTOLの技術分類
eVTOLの実現、さらなる性能向上に必要な技術は多岐にわたります。すべてを扱うことは困難なので、今回の連載の中では主に、以下の4つの要素技術に分類します。
- 安全性
- 航続距離
- 運転制御性能
- 静粛性
扱う技術の中には、この分類だとどれか一つにきれいに分けられないものもあるでしょう。
その場合には、安全性と航続距離など、2つのカテゴリで表示されるような設定にしていきます。
それぞれの分類にどのようなものが当てはまるかについて、簡単に紹介します。
1.安全性
安全性に影響を与える技術としては、主に機体の強度に加えて、故障が発生した際のフェールオペレーションに関する技術や搭載しているバッテリーなどに関する技術が挙げられます。
特に、空を飛んでいるeVTOLは航空機のように滑空ができないため、プロペラが動かなくなってしまうと、墜落するしかありません。
さまざまなハードまたはソフトの冗長性がどのように確保されているかについては、重要なポイントです。
また、万が一何かが衝突した際に、機体の損傷をできるだけ小さくする必要があり、さらに衝突が加わった際にモータやバッテリーなどが発火、爆発しないような工夫が必要です。
さらにここでは、実際に安全性を確保するために役に立つ設計の考え方やそれがeVTOLの開発でどのように使われているのかも確認しようと考えています。
2.航続距離
さまざまなサービスを展開していくうえで、航続距離は重要なポイントです。
eVTOLや航空機は、燃料がなくなったからといって自動車のように路肩に停車することはできず、最悪の場合には墜落してしまいます。
万が一に備えて、緊急着陸ができる所まで移動できる分の燃料を予備として確保する必要があるため、最大航続距離の6割~7割程度が通常使用できる距離となります。
燃料システム、機体の軽量化などが、航続距離に大きな影響を与える要素として代表的です。
航続距離は、長ければいいというわけではありません。
あくまで、用途に合わせた航続距離、機体サイズ、生産コストなどのバランスに配慮する必要があります。
3.運転制御性能
運転制御性能はわかりにくい用語かもしれませんが、eVTOLが空中での姿勢を適切に保つために必要な技術全般を扱います。
例えば、外部の状況を認識するために用いられるセンサーやその情報をうまく活用する制御ロジックなどをイメージするといいでしょう。
空中での姿勢制御や浮上時の姿勢などの考え方、またそれを実現するためのアルゴリズムなども整理していくのが楽しみです。
また、いずれ運転者が不在の中での活用を想定して、eVTOLの自動運転に関する技術もこの項目に含めていこうと考えています。
eVTOLの完全自動運航は、自動車の完全自動運転よりも早く実現するかもしれません。
4.静粛性
eVTOLが受け入れられていくためには、社会に受け入れられるかどうかを示す社会的受容性が重要です。
社会的受容性に大きな影響を与える要素として、静粛性が挙げられます。
eVTOLは、従来の航空機よりもかなり低い位置を飛ぶため、騒音が大きいと日常生活を送っている市民に恐怖を与えてしまったり、騒音によるストレスを与えてしまったりします。
そこで、eVTOLの開発では、静粛性を向上させるために、特にプロペラに関する技術開発が進められており、静粛性の実現のためには重要な要素の一つです。
その他の技術
eVTOLの機体開発に関する技術は、上記の分類で大きな問題なく対応できると考えています。
一方で、eVTOLを実用化するためには、機体だけでなく操縦者の確保やインフラの整備構築などさまざまな技術が必要となります。
本連載の中では、その領域に注目して記事化することは考えていませんが、今後作成予定のeVTOLに関するメディアでは、扱っていきたいと思います。
eVTOLの技術分類まとめ
この記事では、今後eVTOLに関する技術をどう分類していくかについて紹介しました。
この分け方は、私が自分なりに解釈しやすいと思った考え方です。
他にもさまざまな分類の仕方があると思いますので、もしいい案が思いついた方は、問い合わせなどからアドバイスを頂けますと幸いです。
次回以降は、今回分類した内容に基づいて、技術を紹介するような記事を書いていこうと思います。
ぜひ、楽しみにしていてください。
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